うしおととら 恐怖のトラウマ回と名言・名場面
どんもっす。
シャア専用ねこがお勧めする漫画シリーズ
第七回目は
うしおととら(ばばばばばばばーん!!!)
ついにアニメ化されましたね!!
うしおととらは藤田和日郎さんの最高傑作と呼んでも過言ではありません。
藤田和日郎さんの代表作品は以下の通り。
・月光条例
・双亡亭壊すべし(2016年現在連載中)
藤田さんは、なんてーか、広げた風呂敷をたたむのが非常にうまいんです。
伏線の回収が秀逸といいますか、
「え、それ伏線だったの?」
から始まって、
「ええ!? この伏線矛盾してねぇか?」
というような疑問を読者に抱かせつつも、最後の最後は良い話で締めくくってくれます。
特にからくりサーカスなんかは、最初の単行本3巻までと後の話の雰囲気がガラッと変わってきます。
「あきらかに方向転換したよね?」
っていう読者のツッコミもなんのその。
上手いことつなげて、上手いこと収束させていきました。
この記事はそんな藤田さんの最高傑作うしおととらの名言・名場面のご紹介です。
まずは、名場面もとい私的なトラウマ話(怖さ的な意味で)から、順位づけして発表したいと思います。
うしおととらのトラウマ話
第3位:あの眸は空を映していた
(単行本25巻収録 第38章)
昔話にもある、犬であるしっぺい太郎が猿退治をする話が元になっています。
うしおととらでは、白羽の矢が立った家の若い女性が次々と失踪します。
失踪していた理由は、妖と化した猿たちにさらわれて食べられてしまっていた、という話です。
この猿の妖の絵が怖いこと、怖いこと。
(単行本25巻 68ページ 3コマ目より)
こんな奴らが、うきゃっほ、うきゃっほ言いながら人をさらってバラバラにして食べてしまうんです。
おー、こわ。
そのくせしっぺい太郎という犬には弱い(笑)
「こよいこんばんこのことは、しっぺい太郎に知らせるな」
「信濃の国の光前寺 しっぺい太郎に知らせるな」
わざわざ自分たちの弱点と、弱点の居場所まで教えてくれる、親切なんだか何なんだかよくわからん妖です。
第2位:おまえは其処で乾いてゆけ
(単行本7巻収録 第13章)
これもやはり猿の妖の話。
秋田のなまはげがモチーフになっています。
人間の味を覚えた猿の妖が、より簡単に人間を食べるために人間の皮をかぶって人間に変身して人間に近づこうとする話。
もう話だけで怖くないですか?
藤田さんは本当に不気味な猿を描くのが上手いです。
(単行本7巻 65ページ 1コマ目より)
これがそのお猿さん。
この後、人間の皮をかぶるために女の子をさらって、その皮を被るために自分の皮を切り裂きます。
切り裂いた後に出てくる絵は人体模型の猿バージョン。
恐怖そのものです。
第1位:ヤツは空にいる
(単行本4巻収録 第7章)
トラウマ話第1位は、文句なしにこの回。
そう、衾(ふすま)の話です!!
↑これが噂のふすまさん。
(単行本4巻 108ページ 3コマ目より)
恐ろしく不気味です(見た目が)。
空を漂っており、長い手足で旅客機にとりつきます。
その後、人間たちをごっそり食うという設定。
もう怖すぎる。
ちなみに滅茶苦茶でかいです。
旅客機とタメはってます。
そんな奴が旅客機に張り付いて、人間を食べようとします。
そりゃあ、トラウマです。
怖いです。
と言うわけで、ここまで私的トラウマ話の紹介でした。
ここからは、名言・名場面のご紹介を。
「おまえは子供を食った! それがゆるせるか!」
(鏢 かかとのない虎人に命乞いされて、子どもを食べているのを知ったときのセリフ)
妻子を妖・紅煉に食べられ、復讐心でのみ生きている鏢(ひょう)らしいセリフです。
普段は正義感などでは動くことはないのですが、子供を食べた妖には容赦しません。
「わるかったなぁ つらかったろうなぁ。俺は人間なのにすみ家とられたお前らのために、何もしてやれんもんなぁ…」
(うしお すみ家を人間に奪われて暴走する、鎌鼬兄弟の次男十郎に対して)
遠野の鎌鼬3兄弟のお話です。
人間の自然破壊によってすみ家を失って、十郎は怒り狂って人間を殺し始めます。
見かねた兄の雷信と妹のかがりは、妖退治のための獣の槍を持ったうしおに十郎を殺すようにお願いします。
が、うしおは根っから優しいので、逡巡し、上記のセリフを言います。
最後の最後、うしおのセリフが胸に届いた十郎は、元の優しい心を取り戻しますが、自分の命で今までの罪を償うという悲しい話です。
「なん度いってもわからんのだな、一鬼… わしを長飛丸と呼ぶんじゃねぇ… わしは「とら」だっ!」
(とら 一鬼(ひとつき)との闘いで、何度もとらのことを長飛丸とよぶ一鬼を殴りながら)
何気にうしおが名付けた「とら」という呼び名を気に入っているとら。
あるいはうしおを自身を気に入っているのか。
ともあれ、普段は喧嘩ばかりして、隙あらばうしおを食べようとしているとらが、実は心の底ではうしおのことを好きなんではないか、と思わせるシーンの一つ。
「オレは… まっすぐ… 立ってるか…?」
(徳野信二 妖・シュムナを倒すときに犠牲となって)
ガンになった徳野信二。
余命いくばくもない状況で生まれ故郷に帰ってきます。
その故郷や自分の親が妖・シュムナに襲われてしまい、最初は逃げるのですが最終的には故郷の為に命を散らします。
名わき役の一人です。
「我らは……白面の者を倒すまで、蒼月の心の内に在るー」
(ギリョウ 自らが獣の槍と化した後、その柄部分に自らの意思で刻印した言葉)
過去に行ったうしお、そこで見たものはジエメイとその一家が白面の者(はくめんのもの:ラスボスです)に滅ぼされる悲劇でした。
ジエメイは白面の者を倒すための獣の槍になるべく人身御供になり、ギリョウはその鉄から槍を作る過程で自身もいつしか槍そのものへと変化していきます。
その一部始終を黙ってみていることしかできないうしお。
ここの辺りが、うしおが白面の者を倒す宿命を持っている由縁ですね。
「お…っと、…今の…うちに…いっておくぜ。垂…好きだぜ…」
(ヤス 自分が惚れた女性が雪女であったにも関わらず、自分の命を賭してまで告白するシーン)
垂(しずり)という雪女に惚れてしまったヤス。
正体を知っても、かばい続けるその姿は涙無くしては見れません。
ちなみに、雪女を人間にする方法は、本当に愛情をこめて雪女を抱きしめて溶かすこと。
ヤスは期せずして、雪女を人間にする方法を実行していたんですね。
直後のとらの
「あの男がやったのぁ それじゃねえんかよ。」
というセリフも上手い。
ちなみに、この話はもう全体の1/3くらい進んでるのですが、とらは相変わらず、割と本気でうしおを食べようとしています(どの程度本気なのかは不明)。
「みんな 仲良うせんと あかんよ」
(日崎御角 白面の者の放った妖・くらぎを命を賭けて倒したシーン)
光覇明宗の総本山を襲ったくらぎ。
選りすぐりの僧たちでさえ歯が立たなかったくらぎを二代お役目の日崎は自身の命と引き換えにくらぎを倒します。
ここの戦闘シーンは後のストーリー展開上非常に重要な役割を担っています。
また、人のいうことを聞かない凶羅(きょうら)が必死で日崎を助けようとするシーンも胸を打つものがあります。
「オバケ…質問に答えるわ。 泥なんて…何だい、よ!」
(井上真由子 人に質問して、答えられなかったら脳みそを食べてしまう妖・などかとたゆらに対して)
「満足する死とは何か?」
と聞かれた真由子。
上記は
「人の役に立てるのであれば、泥で汚れることなんてなんの問題もない」
ということを意味しています。
「そうとう強いぜ… 俺たち!」
(うしお 白面の者と戦うときに、妖達を鼓舞して)
白面の者の作戦により記憶を失ってしまった東西の妖たち。
記憶を取り戻したときには、状況は白面の者の思うがままになっていました。
獣の槍のお蔭で記憶を取り戻した東西の妖たち。
不覚をとったことについて、うしおに詫びますが、うしおは妖たちを責めることなく、上記のセリフを。
これで一気に妖たちの士気が上昇します。
「ハイフォン… レイシャ… 今こそ… 禁!」
(鏢 妻子の仇である紅煉を倒すときのセリフ)
ついに妻子の仇をうった鏢。
結果は己の命と引き換えでしたが、息を引き取る前に自分の妻子であるハイフォンとレイシャが自分を出迎えてくれる夢を見ます。
ちなみに仇である紅煉(ぐれん)は作中で白面の者が最も信頼していると思われるほど強い妖。
とらでさえ、一対一では不覚をとりそうになったくらいの、作中でも屈指の強キャラです。
「今、俺たちは… 太陽と一緒に戦っている!」
(うしお 白面の者との最終決戦にて)
ついに白面の者と、うしおととらの因縁の決着がつこうとする場面。
負のエネルギーから生まれた陰の存在である白面の者にとって、太陽とはその対極に位置する存在です。
その太陽と一緒に戦っているから、おまえに勝てると断言するうしお。
死んでいった仲間たちが最後に登場するシーンも涙ものです。
「ギエエエエー ばかな… 我は不死のはず、我は無敵のはず。我を憎むおまえの在る限り… シャガクシャアアア!!」
「どういうワケだかわしはもう、おまえを憎んでねえんだよ。憎しみは、なんにも実らせねぇ。」
(上:白面の者 下:とら 白面の者の断末魔の叫びととらのそれに対する答え)
人間であるシャガクシャから生まれた白面の者。
そのシャガクシャであるとらが、白面の者を憎んでいる限り白面の者は不死だったはず。
ところが、とらは最後に記憶を取り戻し、白面の者を恨むのを止めます。
憎しみは、なんにも実らせない。
かつてシャガクシャが心を許した女性が教えてくれた言葉でした。
というわけで、うしおととらの名言・名場面でした。
本当に面白くて、涙無くしては読めない作品です。
興味のある方はぜひとも読んでみてください!
今ならアニメもあります。