登山の魅力と、登山との良い出会い方について
どんもっす。
皆さん、登山をしたことはありますか?
日本は国土面積の70%以上を山地が占めているので、身近に登れる山が非常に多いです。
小学校の遠足などでも一度や二度は登ったことがある方も多いかと思います。
私自身、小学校の時から両親に山に連れて行ってもらっていました。
高校時代からは山岳部に所属して本格的に登山を始め、時が経つこと15年、ついに日本山岳ガイド協会が付与する登山ガイドの資格を得ることができました(わー、ぱちぱちぱちぱち)。
で、先日、ガイド資格を頂いて初めて登山ガイドしてきたのですが、自分のあまりの能力不足にガックシ↷。
サラリーマン時代も直属の上司に指摘されたことだったのですが、私には「経験知を形式知にして伝える」能力が決定的に欠けていることに気づかされたのです。
要は、経験はそこそこあるのですが、それを言葉にして伝える術に欠けていたんですね。
何が良くて何が悪いかを、誰でも理解できるように言葉にして伝える能力が圧倒的に欠けてしまってます。
そこで、自分の今までの経験を整理して形式知にすべく、また、少しでも多くの方が山登りの魅力に気づいてくださるように、定期的にこのブログに登山に関する記事を書いていこうと思います。
メインはHow toもので、登山に必要な道具やら、知識やらを(気が向いたときに)記事にしていきます。
ということで、今回は第一回目。
登山の楽しみ方と出会い方について。
目次
・1-1 登山の魅力とは
・1-2 登山との良い出会い方
・1-3 登山における成功と失敗
1-1 登山の魅力とは
私が考える、登山の魅力、楽しみとは
・達成感
・植物鑑賞
・文化、歴史探索
・ピークハント
・景色
・美容及び健康促進
これらが直接的な楽しみ、魅力であり、間接的には
・下山後の温泉
・温泉でのビール(笑)
・仲間同士での体験シェア
などがあると思います。
登山は競技である場合がほとんどなく、勝った負けたの世界ではありません。
マナーとルールさえ守っていれば、どんな登り方も個々人の自由。
したがって、各人各様の楽しみ方、魅力の感じ方が存在するのです。
山の高低でも楽しみ方は変わってきます。
1000m以下の低山であれば植物鑑賞がメインになるかも知れませんし、森林限界を超えた2500m以上の高山であれば達成感を得たり、景色を楽しむことがメインになりやすいでしょう。
良く、
「どうして山に登るの?」
と聞かれますが、
「そこに山があるから」
と答えたのはイギリスの登山家、ジョージ=マロニー氏ですが、これも登山の一つだと私は思います。
大自然と真っ向勝負して踏破する、その感覚は何物にも代えがたいものです。
なので、これから登山を始めようと思っていらっしゃる方々は、自分なりの楽しみ方を見つけてみてください。
そこには間違いも正解もありません。
1-2 登山との良い出会い方
これから登山を始めようと思っていらっしゃる方々に最も伝えたいことの一つ。
山との出会い方を間違えないこと、です。
山との出会い方は非常に重要です。
出会い方一つで登山にハマるか、ハマらないかが決まってしまいます。
良い出会い方をしたら登山にハマりますが、悪い出会い方をしてしまったらもう二度と登山は…となってしまいます。
登山との良い出会い方を決める要素は、以下の四つです。
・季節 ⇒4~6月、9~11月が望ましい
・天気 ⇒当然快晴、もしくは晴れ(曇りでも可)
・一緒に登るメンバー
・登る山の選定
季節と天気については議論する必要はないでしょう。
初心者の場合、真夏と真冬を避け、運動するのに良い天気を選ぶべきなのは言うまでもありません。
難しいのが一緒に登るメンバーと登る山の選定。
これが非常に難しいです。
登る山に関しては、低山で道がわかりやすい、初心者でも登りやすい山を選んでほしいと思いますが、初心者では中々わかりにくいと思いますので、これに関しては一緒に登るメンバーの中で登山経験が豊富な方に選んでもらえば良いと思います。
問題は一緒に登るメンバー。
まず、単独行はお勧めしません。
初心者の内は必ず誰かと一緒に登ることをお勧めします。
では、一緒に登るメンバーとして、どういった方、パーティが望ましいかと言いますと、
・登山経験が豊富な方
・ペース配分をきちんと考えてくれる方
・2~6人程度のパーティ
を満たしたメンバーで登るのがベストです。
人数に関しては多くてもかまいませんが、人数が多すぎると休憩場所が確保できなかったり、初心者の方に配慮していただけなかったり…ということになってしまいますので、可能であれば10人以下をお勧めします。
一番重要なのが、ペース配分を考えて登ってくださる方と一緒に登るかどうか。
私はペース配分を、登山においての最重要項目の一つと捉えています。
一緒に登っていると、金でも賭けてんのか?と疑いたくなるくらいハイペースで登る方がいらっしゃいます(ピークハンターに多いです)が、そういう方と一緒に登ることは絶対にお勧めしません。
初心者の内に、ハイペースで登っても全然楽しくありません。
ハイペースで登る方と一緒に登っても、登山の楽しみを知る前にフェードアウトするのがオチです。
可能な限りゆっくり登ってくださる方、初心者の自分にペースを合わせてくださる方と一緒に登ることをお勧めします。
では、どうすればゆっくり登ってくださる方を見つけられるか?
…申し訳ありません。
これに関しては、一緒に登ってみるしかない、というのが正直なところです。
というのも年齢性別に関係なく、速く登る方もいれば、ゆっくり登ってくださる方もいるからです。
残念ながら、我々プロガイドの中にも、顧客を置いて一人でスイスイ登っていく方もいます(ガイド失格ですが)。
今の時代であれば、SNS等で趣味友を見つけるのも簡単になっていますので、色々と探してみてください。
一緒に登って少しでも速いと感じたら、遠慮なくペースが速いことを伝えましょう。
それでもペースを改めてくれないようであれば、別の方を探されることをお勧めします。
登山をしてみて、あまり面白くないと感じる原因は登るペースにあることがほとんどです。
登山を楽しむうえで、皆さんが考えている以上にペースは重要です。
ちなみに、私はこの他人にあわせたペースで歩くことに関しては、右に出る者がいないと自負しています(今のところこれしか取り柄がないです…)。
高校時代の競技登山で散々鍛えられたからです。
数十年ガイドしたベテランガイドさんにも賞賛のお言葉をいただきました。
この登り方で、登山の魅力に目覚めさせた人の数は数知れず(笑)。
初めにとばし過ぎて途中でへばった人を引いて、頂上まで登りきったこともあります。
もう一歩も動けない…と座り込んでしまった人を引いて、頂上まで登りきったこともあります。
それくらいペースは重要なんです。
「汗をかかせる様に登ってはいけない。汗をかかせないように登りなさい」
大学時代にとあるベテランガイドの方からいただいた至言です。
皆さんにも、私が出会えた素晴らしい出会い以上に登山を通じて素晴らしい出会いがあることを願って。
1-3 登山における成功と失敗
最後に、登山における成功と失敗について書いておこうと思います。
登山とは前日までに行動計画をたてるのが基本です。
地図やネット情報、ガイドブックなどを基に行動時間などを算出して行動計画を立てていくものですが、実際に登ってみたら予期せぬ事態に遭遇することもあります。
一つの例として、荒天になった場合、皆さんは引き返しますか?
登り始めだったら、引き返す方も多いかもしれません。
でも頂上まであと少しだったらどうでしょう?
多くの方がそのまま登ることになるのではないでしょうか。
登山において、当初の計画を変更して行動することは何ら珍しいことではありません。
予定していた頂上まで登らずに帰ってくるなんてことは多々あります。
この場合、その登山は失敗だったのでしょうか?
私の考えはNoです。
登山における成功とは生きて無事に帰ってくることであり、失敗とは山で亡くなる、ことであると私は考えています。
つまり、無事に帰ってくることができれば、当初の予定を変更してようが、ピークを踏まずに途中で帰ろうが、道に迷っていようが、全て成功なんです。
得た経験を次に活かせばよいというだけの話。
しかし、死んでしまってはもう活かすこともできません。
これこそが登山失敗であると私は考えています。
多くの名のある登山家達が、登山で悲運の最期を遂げていますが、いくら綺麗ごとを並べたところでこれは登山失敗以外の何物でもないんです。
登山するうえで最も大事なのは、誰にとっても自分の命のはずです。
これから登山を開始される方々は、ぜひとも安全第一で登っていただきたいと思います。
では、良い登山を。