一寸法師の猥談 本当は「ゲスい」日本昔話
どんもっす。
日本昔話シリーズその④
一寸法師がリアルにいたら多分こんな感じ👇
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拙者、名を一寸法師と申す。
その名の通り一寸ほどの身長で生まれてきて、最終的に180cmを越える身長になってしまうという、オーバーテクノロジーを超越した何かを受けた身として、世間的には知らない者はいないと確信しているでござる。
しかし、その出生はギリギリでござった。
というか、日常生活全てがギリギリでござった。
考えても見られよ。
拙者、体の大きさが一寸一寸。
あ、いっすんいっすんではなくて、いっすんちょっと、ね。
…あ、ござる。
それで一寸法師。
今の時代で言うと、3cm程度で候(そうろう)。
このサイズで活動することは、まさに日常生活そのものがデンジャラス。
拙者にとっては身の回りの生物全てが捕食者。
毎日拙者の命を狙う生物とのランデブーでござった。
犬や猫はもちろん、ネズミやカラス、ハト…
これらの生物はまだ良い方で、問題は昆虫で候。
カマキリやセミ、バッタ、ムカデ、ハチ、アリ、クモ、ゴキブリ…
アリやハチは大群で襲ってくるし、クモは巣を張ってエグイ罠にかけようとしてくるし、カマキリは何考えてるかわからないし、ゴキブリはキモイし…
というか、昆虫は総じて気持ち悪いでござる。
等身大で、お腹部分のグニャグニャしている部分を見せつけられることを想像して見られい。
一度ゴキブリの巣に迷い込んで、何十匹といる奴らが蠢く姿を見て、
「いやグロォ!! ってかキモっ!!!」
って叫んじゃったし。
…あ、ござる。
え? さっきから語尾が変だけど、キャラ作ってるのかって?
失敬な!
武士を愚弄するのであれば、切り捨てるぞ!
なお、きゃつらには拙者が護身用に持っていた針など一切役に立たなかったことは付け加えておくでござる。
むしろ、中途半端に攻撃を仕掛けて怒りを買うためだけに存在していたような無用の武器でござった。
大体針で刺された昆虫は、いきり立って襲い掛かってきたものよ。
ムフフ。
あの頃を思い出すと血がたぎってきたわ。
当然、そんな体だから、自然災害も並大抵のものではござらん。
ちょっと雨が降っただけで、簡単に流される始末。
段差も通常の人間の体感の50~60倍。
30cmくらいの段差も、拙者にとっては通常の人間に対しての15mくらいに感じるのでござる。
いや、こんな階段登れねーよ!ってなんどもツッコんでたし。
…あ、ござる。
そもそも、拙者が一寸だったのには理由があったのでござる。
父母である老夫婦が、子どもを授からなかったので、神様にお願いごとをするときに
「神さま、親指くらいの小さい小さい子どもでもけっこうです。どうぞ、わたしたちに子どもをさずけてください」
と念じたのが理由でござる。
で、神様がその願いを聞いてくれて、一生涯背丈が一寸の子どもを授けてく・れ・ま・し・た・よ、と。
いやー、良い話だね! って、バカヤロォ!
そんなバカな話があってたまるか!
お蔭でこちとら死と隣り合わせの毎日だよ。
…あ、候。
え? さっきから語尾が変だけど、キャラ作ってるのかって?
失敬な!
武士を愚弄するのであれば、切り捨てるぞ!
百歩譲って、体が小さいのは我慢できたでござる。
しかし、拙者がいたのは老夫婦の家。
どうせ養われるのであれば、若いおなごがいる家が良かった。
え?
何するのかって?
それはもちろん、この小さい体を活かして、あんなこととか、そんなこととか、こんなこととか…
ぐひっ、ぐひひひっ、ぐひひのひ!
いかんいかん、想像しただけでヨダレが…。
そういう訳で、拙者京の都を目指すことにしたでござる。
え? どうして京の都を目指したのかって?
たわけか、貴様は。
今までの話の流れからすれば、可愛いおなごが大勢いる京の都を目指すのは当然だろーが。
わざわざ、ジジババしかいない土地に行ってどうすんだ。
え? もうキャラ作りはやめたのかって?
失敬な!
武士を愚弄するのであれば、切り捨てるぞ!
で、旅立ちの日に餞別に用意されたのが、お椀の船でござった。
船というよりも、お椀そのものでござる。
これにはさすがの拙者も死を覚悟したでござる。
何のセイフティーもないお椀…。
ひっくり返ったら、川の藻屑でござる。
この老夫婦はとことんアホなのか…。
かなり逡巡したでござるが、命の危険に晒されているのは普通に暮らしてても同じ。
ならば、可愛いおなごと戯れることを夢見て旅出るのも一興か!と死を覚悟して旅出たのでござった。
まあ、欲望が勝った瞬間でござる。
お椀の旅は難解を極めて候。
揺れるわ、揺れる。
何度もお椀酔いで吐いたでござる。
ひっくり返ったら一巻の終わりなので、針の刀で舵をとって…
途中何度も虫の襲撃に会いながらも、辛うじて京の都に辿り着くことができたのであった。
日本昔話広しと言えど、ここまで命の危険に晒され、それでも生き延びた豪の者も珍しかろう。
京の都に着いたら、早速一番大きな屋敷を尋ねて候。
こういうのは、一番大きな屋敷を尋ねるのがセオリーでござる。
絶対に可愛い姫がいるはずだし、姫が可愛くないにしても侍女などが沢山いるはずで、その中には一人くらい絶対に可愛いおなごがいるはず。
自分好みのおなごと出会いたいなら、母数を増やす。
これ基本でござる。
ところが幸福なことに、その屋敷の姫は大層可愛いおなごであった。
美味しい!
美味しすぎるんじゃナイ?
え? もうキャラ作りはやめたのかって?
失敬な!
武士を愚弄するのであれば、切り捨てるぞ!
というわけで、正面から突撃。
拙者の体の小ささも手伝って、物珍しさが手伝ってあっさり採用されたでござる。
ぐしししし。
ふうむ。
ややや。
フムフム。
ほっほー、そう来ましたか。
おっほっほっほっほ、そうそう、そこそこ、そこは大事よ。
え? 何してるのかって?
当然、姫の湯浴みを覗いているのでござる。
これだけ体が小さいのだから、覗いてしまうのは不可抗力でござる。
大体、減るもんじゃなし。
拙者の普段の生活の際どさを考えたら、これくらい許されてもよかろう。
デュフフ、フォカヌポウ。
と、姫との逢瀬(←?)を楽しんでいたのもつかの間、ある日姫の寺へのお参りの同行を申し付かったので候。
拙者は用心棒ということでござったが、明らかに姫の方が強い気が…
大体からして歩幅が全然違うので、ついていくのがやっとでござった。
「ちょ、ちょい待ち! はやっ! 足はやっ!」
とまるで足手まといでござった…。
途中からは姫の肩に乗っけて頂いていったのだが、まるで対等な存在ではござらん。
拙者、この時ほど落胆したときはござらん。
お参り終わって帰るまで、何の役にも立たなかったでござる。
と気落ちしていたら、なんと、ステレオタイプの鬼が姫をさらいに来たのでござる。
これぞ格好いいところを見せるチャンス!とばかりに鬼に戦いを挑み申した。
え? 怖くなかったのかって?
見くびってもらっては困る。
拙者は常日頃から、ゴキブリやらクモやらアリやハチの大群と、文字通り死闘を繰り広げているのでござる。
奴らの狡猾さ、俊敏さ、鉄壁さ、チームワークに比べたら、一匹の鬼など物の数ではござらん。
体の大きさも、ある程度以上になったら拙者からすれば皆同じようなものでござる。
これだけ体が大きかったら、拙者を飲み込む一択だろうし。
案の定、鬼は拙者を一飲みでござった。
「口くっさ!!」
あまりの口臭に思わず本音を漏らしながらも、鬼にわざと飲み込まれ、胃まで到達したらこっちのもの。
あとは胃の中を針でやたらめったら刺しまくるだけでござる。
こっちの思惑通り、鬼は拙者を吐き出して、這う這うの体で逃げ帰って候。
口ほどにもない。
「またつまらぬものを刺してしまった…」
と完璧な決め台詞を言ったにもかかわらず、姫は全然聞いてござらん。
オイ!
何をしているのかと思ったら、鬼が吐き出した打出の小づち(すげぇくせえ)を大事そうに持ってござった。
なにやら、これを振ったら何でも出てくるのだとか。
鬼の胃液まみれですげぇくせえ打出の小づちを普通に持っているのには若干引き申したが、それで拙者の背をぐんぐんと大きくしてくださった。
「背ぇ出ろ! 背ぇ出ろ!」
と。
何でも出るという触れ込みで、背を出すとは少々インチキ臭かった(とんちじゃねーんだからさぁ…)が…
正直、小づちを振るたびに鬼の胃液が降りかかってきて臭いことこの上なかったが、姫の身長を越して通常の男を上回る身長になれたのは、感無量でござった。
これで、姫ともあんなことやこんなことを…
ぐひひ。
そんな訳で、拙者可愛い姫と一緒になることができたのでござる。
付け加えておくと、拙者はグラマラスなスタイルが好きでござる。
姫はお世辞にも乳がデカい方ではござらん。
というか貧乳の部類でござった。
そこで、拙者は毎晩毎晩姫が寝静まった後に、姫の胸に向かって打出の小づちを振ったのでござる。
「胸出ろ、胸出ろ」
毎晩、気づかれないくらいちょっとずつ大きくして、今では拙者好みのグラマラスなボディを手に入れて候。
姫も、
「最近胸が重いんだけど…」
と喜々として語っていたので、問題ないでござる。
そうそう、拙者も身体の一部分だけ大きくしたでござる。
どこをデカくしたかは聞くだけ野暮でござる。
これこそが夫婦円満にいく秘訣で候。