SFC版ドラゴンクエストⅥやった感想 今でも楽しくプレイ可能
どんもっす。
過去の名作(迷作?)レビュー、第二回目は
1995年にSFC(スーパーファミコン)用ソフトとして開発されたこのゲーム、12月に発売開始という、明らかにクリスマス商戦を狙ったタイミングで世に出てきました。
当時、多くの小学生がクリスマスプレゼントにお願いしたものです。
ってか、当時の発売価格12,800円て…。
当時の小学生のクリスマスプレゼントとしては相当高額と考えるのは私だけ?でしょうか。
転職システム有り、仲間モンスターシステム有り、裏ダンジョン裏ボス有り、と過去作品で好評だったシステムを全て取り入れたこの作品、BGMの音源も戦闘シーンもシナリオも、そしてゲームとしての完成度も当時としては非常に高く、多くのファンが魅了されました。
一方で、やる気のかけらもないボスのグラフィックやバランスを投げ捨てている特技と呪文、Ⅴ(ファイブ)と比べえると仲間モンスターが変な奴ばっかり…と色々と不評も多かったこの作品。
特に、呪文と特技のバランスに関しては、きちんとテストプレイしたのかと、開発スタッフを小一時間問い詰めたい。
問い詰めて説教したい。
ドラクエのナンバリングでも、賛否両論が最も分かれる作品ではないでしょうか。
私的な賛否👇
賛成点
・グラフィック、BGMの音源が秀逸
・仲間モンスターシステム有り
・職業システム有り
・中ボス、ラスボス、裏ボスが非常に強く、難易度設定が的確
・裏ダンジョンの雑魚敵が強く、やりごたえがある
否定点
・仲間モンスターが仲間になりにくい
・仲間モンスターが強すぎる
・仲間モンスターが微妙な奴らが多い
・呪文と特技のバランスが崩壊しており、呪文の存在意義が薄い
・特技は「ねる」などというふざけた特技さえ滅茶苦茶使える
・ボスキャラのグラフィックが雑魚敵の色違い(使いまわし)
・フィールドの音楽がなんか暗い
・各職業ごとのステータスマイナス補正がデカすぎる
・最終的には皆似たり寄ったりの性能になる
・かしこさの存在意味がない
こんな感じ。
割と最近0からプレイして裏ボスまで倒したので、色々と感じたことをレビューしたいと思います。
※ネタバレあり
普通にクリアする分の難易度が馬鹿高く、反対にやり込むと難易度が恐ろしく下がってしまい、個性もなくなる
このゲーム、基本職9種、上級7種、モンスター職2種の計18種類の職業があるのですが、全キャラクターが何のリスクもなく全ての職業に就くことができます。
これが何を意味するのかというと、一部固有の特技・呪文を除いて、最終的に全てのキャラが同じ呪文と特技を覚えるということです。
ちなみに、個別に覚える呪文で便利なのはベホマズン(全キャラのHP完全回復)くらい。
なので、ベホマズンを使えるキャラクター以外は、最終的には全員似たり寄ったりの性能(ステータスは別)になってしまいます。
但し、これはやり込んだ場合。
普通にプレイして、通常の到達Lv(最終ボスに30~35程度)で挑んだ場合、各キャラクター個性満載で、滅茶苦茶楽しい&難しいです。
ここは評価していいポイントです。
普通にプレイしてラストまでたどり着くと、基本職2~3つ、上級職1つくらいしかマスターせずにラスボスに挑むことになります。
最近プレイした私のデータでは、ラストダンジョンに入ったタイミングで各キャラクターがマスターしていた職業は
主人公⇒戦士、武闘家、バトルマスター、勇者(途中)
ハッサン⇒武闘家、僧侶、パラディン
ミレーユ⇒踊り子、遊び人、スーパースター
チャモロ⇒僧侶、魔法使い、賢者
バーバラ⇒魔物使い、盗賊、商人、レンジャー
テリー⇒戦士、バトルマスター
ドランゴ⇒ドラゴン
こんな感じ。
各キャラクターにうんと個性を出すために、別々の上級職を目指し、マスターしてもそのまま上級職固定でプレイ(とはいえ、上級職をマスターしたタイミングくらいでラストダンジョンだった)。
当然、それぞれ覚えている呪文や特技が異なり、ステータスは各職業の±補正も相まって、相当差別化を図れました。
誰か一人が死んだら攻略上困ることがでてくる、みたいな。
で、この状態でラスボスに挑みました。
はっきり言いましょう。
舐めてます。
何が?
ラスボスの強さに対する、こちらの戦力が。
挑んだ私が言うのもなんですが、舐め腐ってます。
ラスボスにおけるこちらの戦力の私なりの評価👇
主人公⇒勇者になっているだけあって重要なダメージソース。装備の耐性も吉。彼が死んだら終わり。
ハッサン⇒僧侶やったので、回復ができる。ザオラルもある。彼が死んだら終わり。
ミレーユ⇒一撃で葬り去られる。
チャモロ⇒一撃で殴り殺される。
バーバラ⇒一撃で冥界へ。
テリー⇒ドランゴ引換券。誇るべきベンチウォーマー。ダメージ与えるだけ与えたらとっとと死亡。
アモス⇒メラゾーマが良い感じ。すげぇ地味。ダメージ与えるだけ与えたらとっとと死亡。
ドランゴ⇒ザオリク未習得(レベルが低いので)。立派な壁。
ミレーユのハッスルダンス(全員HP中回復、MP消費0)があれば何とかなるだろうと意気込むも一撃で殺され、チャモロはザオリク(HP完全回復状態で死者蘇生、MP消費20)とベホマラー(全員HP中回復、MP消費18、ハッスルダンスよりも回復する)があるから守ってあげなきゃ!と装備を充実させるも一撃で殺され、バーバラに至っては特にやることもなく一撃で殺され…
これで俺にどうしろと?
これはひとえに、ラスボスの攻撃があまりにも苛烈なことと、職業毎の-補正がデカすぎることが原因です。
いや、ラスボスが強いのは良いことなんだけどね。
それまでのボスで強い、というか苦戦するのはせいぜいムドー(転職前なので)、アクバーくらいで、他のボスは総じてザコ。
ところが、このラスボスの強いこと強いこと。
最終的に生き残ったのは、主人公、ハッサン、ドランゴでしたけど、お気づきのように、蘇生と回復手段が限られてます。
主人公⇒ホイミ(HP小回復、MP消費3)とめいそう(自身のHP500回復、MP消費無し)。
ハッサン⇒ベホマ(HP完全回復、MP消費7)、ザオラル(蘇生呪文、確率は五分、消費MP10)。
ドランゴ⇒なし。ゲントの杖(べホイミと同様の効果、無限に使える)使用。
当然、賢者の石なんて持ってません。
回復役のミレーユとチャモロはあっさり殺され、ザオラルで何とか生き返らせるも、よみがえった瞬間またまた殺され…。
ハッサンはMP低いので、ザオラル唱えてる場合じゃねーし、唱えたところで意味ねーし。
死すべき運命のキャラは、ここぞとばかりにダメージを与えて死んでいく役目に。
ハッサンにはありったけの魔法の聖水と祈りの指輪(どちらもMP回復)持たせてましたよ。
もうね、本当に総力戦。
ラスボスの攻撃が苛烈なときは馬車に皆入れて、眠らされたらアストロン唱えて、主人公やハッサンが瞬殺されたときはやり直して…
30回くらいやり直したのではなかろうか。
最終的に倒せたときは感無量でした。
ラスボス強すぎ…
…で、裏ボスがいるんですけど、こいつが輪をかけて強い。
もう滅茶苦茶。
職業のはぐれメタルの熟練度を5にした瞬間、ラストダンジョンに挑みましたが、ラストまで行けねぇ…。
ラストダンジョンの雑魚敵が強すぎます。
強さが軽くインフレ起こしていて、全然太刀打ちできません。
何とか裏ボスまでたどり着くも、一方的にボコられて終了。
ギガデイン喰らって全滅した時は、さすがにレベル上げして挑みました。
ここまでなら、今までのドラクエの中でも屈指の出来だと言わざるを得ないでしょう。
ラスボスを除き、裏ボスですら雑魚敵の色違いなのはさすがに引きましたが。
ところが、ところがですよ。
ちょっとやりこんで、レベルと職業の熟練度を上げると途端にバランス崩壊を起こしてしまいます。
全体的に特技が強すぎる。
特技のほとんどはMPを消費せず、無制限で使えるのに対して、呪文はMPを大量に消費します。
特技の多くが全体攻撃可能であり、無属性攻撃が多いので、敵の耐性によって与えるダメージが減ることはほとんどありません。
が、呪文は敵側が大勢を持っていることが多く、属性呪文は与えるダメージが減ってしまいます。
さらに、ドラゴンが覚えるブレス(息攻撃)である、しゃくねつ(灼熱の炎)やかがやくいき(輝く息)は、両方耐性持っている敵キャラはほとんどおらず、イオナズンよりもダメージを与えるという高性能。
ドラゴンは、ドランゴ含めてクリアまでに最大4人なれるので、これになったら雑魚戦は勝ちです。
何も考えずに息吐いてりゃ終了します。
この二つ覚えたら、もう攻撃呪文は完璧に用なしです。
せいぜい、山彦+ギガデインか山彦+メラゾーマ、山彦+イオナズンくらい。
※山彦とは山彦の帽子のことで、唱えた呪文が1度に2回効果になります。
防御系でも、呪文は特技に負けています。
呪文のフバーハは、敵のブレス攻撃軽減、MP消費、味方全体
特技のおいかぜは、敵のブレス攻撃を一度だけ反射、MP消費無し、自分のみ
フバーハは敵のブレス攻撃を軽減するだけですが、おいかぜは完全に反射します。
おいかぜは一回で消えて、自分のみ、という制限はありますが、反射したらまた使えばいいという話。
何より、反射が強すぎます。
裏ボスなんかは、反射ダメージで相当削れます。
対してフバーハは凍てつく波動でかき消されるし…
ラスボスがおいかぜを使ってくる時点で、どちらが強力か察せられます。
結論:呪文不要、というか特技が強すぎ
呪文と特技のバランスに関しては、きちんとテストプレイしたのかと、開発スタッフを小一時間問い詰めたい。
問い詰めて説教してやりたい。
「物理で殴る」が強すぎる件、はぐれメタルが弱すぎる件…
ある日のこと。
カダブウはまわしげりをはなった!!
はぐれメタルに5のダメージ
はぐれメタルをやっつけた。
ん?
おい、ちょっと待て
今普通にはぐれメタルにダメージ与えなかった?
いやいや、昼間から幻覚見たようだ。
ゲームのしすぎか?
気を取り直して、もう一戦。
カダブウはメタル斬りをはなった!!
はぐれメタルに7のダメージ
はぐれメタルをやっつけた。
おいおい、マジか?
はぐれメタルを殴り殺したぞ?
そんなんあり?
そう、ドラクエ6はシリーズでも初の、メタル系スライムを殴り殺せるゲームなんです。
それまでのシリーズでは、どうあがいても1ずつしか与えられなかった(ドラクエⅢのドラゴラムを除く)のが、攻撃力が500を超えた時点で、はぐれメタルやメタルキングに普通にダメージが通るようになります。
この段階で、しっぷう突きという100%先手が取れる技を使うと、攻撃をミスらない限り、はぐれメタルを100%の確率で仕留めることができるんです。
これは本当に衝撃でした。
この事実を知ったのは、当時リアルタイムでやっていた小学生時代ですが、今改めてやってみても無茶苦茶やなぁと思います。
とはいえ、これで仲間になりにくいどころか、倒すのさえ難しいはぐれメタルをほぼ確実に倒せるようになったのは、非常にありがたい。
私のドラクエプレイ歴で初めて、はぐれメタルを仲間に入れることができました。
ところが、このはぐれメタルが苦労の割には弱い…。
ほとんど全ての攻撃に耐性があり、身の守りも初期レベルからMAXなのですが、ラスボス、裏ボスはもちろん、ラストダンジョンの敵の攻撃もダメージが普通に通ります。
そう、こちらがはぐれメタルを殴り殺せるということは、こちらのはぐれメタルも殴り殺されるということです。
これには参った。
メタルキングシリーズを装備させたら、雑魚からのダメージは通らなくなるのですが、それも裸の身の守りが500の状態のときのみ。
戦士系以外の大半の職業で身の守りがマイナス補正になる本作では、ほとんどを馬車の中で過ごす羽目に。
そもそも、本作は敵も味方も攻撃力が高すぎるので、やられる前にやれ!が最も戦術として有効です。
そういった意味では、守り重視のはぐれメタルは非常に不遇。
ゲーム中でも1,2を争うくらい仲間になりにくいのに。
滅茶苦茶苦労して彼を仲間に入れても、既に使っている仲間が強すぎて、活躍の余地がほとんど残されていないのも不憫です。
反対に、ランプの魔王とキラーマシン2は強すぎる。
AI行動にしたら、ともに2回行動(キラーマシン2は100%ではありませんが)、強い力と身の守り、耐性と非の打ちどころがありません。
ランプの魔王は、ラスボスを倒した後の裏ダンジョンでしか入りませんが、それでも十分すぎるほど強い。
Lv.40くらいで、裏ボスとタイマンはって勝ってしまいます。
このあたりのバランスはもっと何とかならんか、と言いたいところ。
天空シリーズとしてのつながりが弱い
ドラクエのナンバリングは
Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ⇒ロトシリーズ
Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ⇒天空シリーズ
となっています。
時系列はそれぞれ
Ⅲ⇒Ⅰ⇒Ⅱ
Ⅵ⇒Ⅳ⇒Ⅴ
となっており、天空シリーズはロトシリーズの焼き増しとも言えます。
但し、ロトシリーズはつながりや時系列が非常にわかりやすく、特にⅢでアレフガルドに到着した時は思わずニヤリとしてしまうのですが、天空シリーズではそれがない。
Ⅳ⇒Ⅴはエスタークの存在や天空への塔の荒廃ぶりから繋がりや時系列が連想しやすいですが、Ⅵはそれが非常に薄い。
天馬の塔やゼニスの城というそれらしいものは出てきますが、言われてみれば…という程度の物。
天空装備に至っては、Ⅳ、Ⅴは同じ天空の〇〇で統一されていてわかりやすいですが、Ⅵは過去の勇者?か何かの名前を踏襲しており、攻略本の挿絵を見比べないと同じものだとわかりません。
ゲーム中にグラフィックを確認する術がないので。
そもそも、ロトシリーズのつながりと時系列が大好評だったからと言って、同じことをもう一度やるのはいかがなものか。
この辺り、エニクスの成長度合いとスケベ根性がうかがえます。
とまあ、長々と書きましたが、当時のRPGとしての完成度は秀逸です。
まだ未プレイの方は、実機でぜひともプレイしてみてください。
ドラクエシリーズの根強い人気の理由がわかります。
そんで、呪文いらなくね?ってなります。