藤井聡太にみる、才能というものに抗うこと
どんもっす。
去年の話ですが、羽生善治さんがついに永世竜王とりましたねー。
おめでとうございます!
パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!
羽生棋聖「くっくっく… あいつは羽生一族の中では最弱」
羽生王将「羽生一族の面汚しよ」
などといった会話が聞こえてきそうな中、7冠(王将、王位、王座、棋聖、棋王、竜王、名人)同時獲得、永世および名誉7冠、通算タイトル獲得数99と、もはやこの記録を超えるのは不可能ではないか、羽生さんを超える天才はもう現れないのではないかと思われていた今日この頃…。
現れましたね。
羽生さんを超えそうな逸材が。
藤井聡太君。
どう控えめに見ても、天才ですね。
藤井君の記録に関しては色々な場面で語られているのでここでは触れませんが、1年目にして数々の記録を打ち立て、しかもまだ高校一年生で成長途中というとんでもない化け物です。
こうしてみると、スポーツや芸術などの分野って一般人と天才とで絶対に越えられない壁が存在するな、と思います。
もちろん、将棋なんて才能だけで勝てる世界ではなく、棋士は血のにじむような努力を幼いころから積み重ねていたのでしょうが、藤井君に関しては、プロ棋士も参加する詰将棋大会で、小学生のころから四連覇するほどの才能の持ち主。
これを天才といわずして、何を天才というのでしょう。
この詰将棋大会については、他のプロ棋士も参加している中で、一人だけ満点。
もう明らかに、他の人とは見えているものが違うとしか思えません。
そもそもがプロ棋士は天才しかなれない、というむきもあるぐらいですから。
その中でも天才と呼ばれる存在。
次元が違いすぎます。
次元が違う人材というものは色んな分野で存在します。
怪物と呼ぶにふさわしいフィジカルで、ゴール下を支配していました。
とてつもないパワーの持ち主で、バスケットのリングを破壊したこともあるくらいです。
バスケットといえば、神様と呼ばれたマイケル=ジョーダンを皆さん聞いたことがあると思います。
マイケル=ジョーダンも、たぐい稀なる身体能力でNBAの頂点に6度たったわけですが、ことチームの勝利への貢献度で言えば、シャキール=オニールには及びませんでした。
なんせ、シャキール=オニールはパワーがとんでもない、という理由だけで他の選手が止めることができなかったんです。
シャキール=オニール選手は2m16cmの巨体でしたが、他の選手も2m越えの人は大勢います。
それでも止めることができなかったんです。
この選手は正攻法では止めることができなかったので、NBAはルールを変えてしまったぐらいですから。
たった一人の選手が全体のルールを変えてしまう…。
この世界には、そんなとんでもない規格外の才能が多々存在します。
一方、将棋に戻って考えると、羽生さんも藤井君もとてつもない才能の持ち主で、規格外の存在なのですが、一対一で止めることができないかと言われるとそうでもありません。
二人とも、天才と呼ばれる集団の中で恐ろしく高確率で勝っていますが、もちろん負けるときは負けています。
何が言いたいのか?
たとえ天才といえど、神様ではないので付け入るスキが存在するということです。
藤井聡太六段の快進撃を受けて、谷川浩司九段が20~30代の棋士にむけて
「君たち、悔しくないのか」
といったことを発言されておりますが、これ本当に思います。
最近は、羽生さんと藤井君効果で、棋士たちに執筆や講演依頼が増えてしまい、研究会に顔を出す棋士が減っているとか。
いやいや、そんなことやってる場合じゃないでしょ。
かつて羽生さんが7冠を同時制覇したときも圧倒的な強さでしたが、その後1冠にまで追い込まれています。
周りにいる棋士たちが、羽生さんの将棋を徹底的に研究し、楽に勝たせるようなことはさせなかったからです。
今、藤井君と対局している20~30代の四~六段のプロ棋士は何を思って、藤井君と対局しているのでしょう。
「絶対勝ってやる」
でしょうか?
「もう少ししたら、彼は遠くへ行ってしまうな…」
でしょうか?
「彼が活躍してくれたら、将棋界も安泰だ」
でしょうか?
事実、藤井君がタイトルを取るようなことがあれば、彼と公式戦で勝負できなくなる棋士も出てくるでしょう。
谷川さんは、羽生さんが台頭してきたときの自身の思いと比較して、上記のような発言をされたのだと思います。
この谷川さんの発言が
「藤井君は天才だから、仕方ないね」
だったら、かなり悲しいですよね…。
同じ舞台で勝負しているプロ棋士同士なのですから、何とか意地を見せてほしいところです。
特に20~30代の若手棋士はまだまだこれからなんですから。
少なくとも、天才と呼ばれる組織の一員なのですから、圧倒的な才能というものを前にしても、戦う姿勢を見せてほしいです。
そして、これは勝負という物事に身を置く全ての人に感じてほしいことだと思っています。
仕事の世界でも同じことです。
好むと好まざるとにかかわらず、若くして才能あふれる人間というものは次から次へと生まれてきます。
それらの参入を拒むことはできません。
今2,3年目の社員でも、今年の優秀な新人に劣るなぁって方、大勢いるでしょ?
終身雇用なんて崩れた今、うかうかしていたら若い才能にあっという間に追い越されて、途方もない差をつけられてしまいます。
スポーツ漫画なんかでよく見かけるのですが
「チームが強くなれば、俺は(試合に出られなくても)嬉しいんだ」
っていうセリフ、ありますよね?
こういうセリフを言うキャラクターは、献身的なキャラクターとして描かれており、スラムダンクのメガネ君(木暮)がこれに当たります。
こういうセリフ見ると、
「おいおい、お前は顧問の先生か何かか?」
って思いませんか?
いや、それでいいのかと。
良い訳ないだろうと。
絶対に、自分が試合に出てチームの勝利に貢献したいに決まってますし、そのほうが良いに決まってます。
圧倒的な才能を前にして
「こりゃー勝てんわ」
と思ってしまうのは、仕方のないことかもしれません。
それでも、同じ舞台で勝負しているのだから多少なりとも意地を見せてほしい、そう思います。
逆に、負けても悔しいとも何とも思わないのであれば、その世界で勝負する才能がまるっきり0ってことです。
勝負する世界を変えることをお勧めします。
余談ですが、スポーツの世界でも仕事の世界でも、一旦控えに回ってしまうと第一線で活躍している方々とは、天と地ほどの差をつけられたと思ったほうが良いです。
スポーツであれば、レギュラーと控え選手では、試合の経験値で絶対的な差をつけられてしまいます。
それは、自分一人の力ではどうすることもできない、明確な差なんです。
そのことを悔しい!何とかしなければ!と思えないのであれば、勝負する世界を変えることをお勧めします。
新しい人との出会いが多くある4月という時期に、新人ではなく、あえて旧人にエールを送ります。
そして、自分自身にも。
みんな、頑張れ!!