シャア専用ねこのブログ

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シンデレラの断定 本当は「マズい」グリム童話

どんもっす。

 

昔話シリーズその⑦

リアルにシンデレラがいたら…多分こんな感じ👇

 

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私、シンデレラ。

世界的に有名な、あのシンデレラ。

日本という小さな小さな島国で有名ってだけで、イキってる方々と一緒にされたら困るわ。

私は世界。

格が違うの、格が。

 

今日は、私の話をしにきたの。

世間では、ラッキーガールの人生を指してシンデレラストーリーって言うらしいけど、失礼しちゃうわ(ぷんすか!)。

私はラッキーなんかではなく、ちゃんと苦労して幸せを掴んだんですからね!

今日私の話を聞いて、そこの辺りはきちんと理解してほしいわ。

 

そう、あれは私がまだ継母たちにいびられてた頃の話…。

今思い出しても涙が出てくるわ…。

だって…だって女の子だもん♡

 

あ、そういうのはいらないって?

こういうのが結構重要なんだけど。

ま、いいわ。

とにかく私が継母たちに命じられて雑巾がけしていたのが始まりよ。

 

 

ふうふう、床の雑巾がけも楽じゃないわ。

腰は痛いし、腕は汚れるし…。

心なしか、最近二の腕がたくましくなってきた気もするわ。

悲しい。

悲しすぎるわ。

 

こんな調子でいつもの雑巾がけをしていたら、あの3人がやってきたの。

まだ終わってないのに今日はバカみたいに早いわね、と思って顔を上げたら、ご丁寧に3人とも腰に手をあてて、並んで突っ立っていたわ。

 

向かって一番左が継母。

見ての通り、鼻が豚よ。

そして真ん中が長女、一番右が次女よ。

長女は見ての通り、しゃくれているわ。

ありえない。

ありえなさすぎる、しゃくれかただわ

次女に至っては、顔の半分があごよ。

人間の骨格的にありえないわ。

密かに、永世鼻フック、しゃくれ子、あご美と呼んでるの。

内緒よ。

 

しかし、父も思い切った相手と再婚したわね…。

相当な冒険家よ。

ひょっとして鼻フック好きだったのかしら?

だとしたら相当マニアックね。

 

今日はこの国の王子様が舞踏会を開くというので、何やらはしゃいでいるけど…

ひょっとして…

まさか、舞踏会に出ないわよね?

と探りを入れてみたら、3人とも出るつもりで、うっきうきの大はしゃぎ。

 

あわわわわわわわわわわわ…。

こ、こんな顔面レベルの方たちが王宮に足を運んだら、王宮侮辱罪に問われないかしら?

一緒にいたら、私まで同罪にされそうね…。

ここは着ていく服がないとかなんとか適当な理由つけて、同行を拒否するのが無難ね。

命の危機だわ。

というよりも、3人は何でそんなにはしゃいでいるの?

鏡を見たことがないのかしら。

ヤバい。

ヤバすぎるわ。

 

え? お留守番?

こ、これは願ってもない申し出だわ。

3人が舞踏会に行っている間、お留守番しろって!

一緒に行かなくていいんだ!

これで、私は侮辱罪から逃れることができる。

いくら私でも、他人の罪を一緒に被ることは本懐ではないわ。

僥倖という奴かしらね。

ああ、だからラッキーガールの物語をシンデレラストーリーっていうのかしら。

確かに、ラッキーだわ。

ラッキーにも程があるわ。

 

3人が出て行って、ひたすら雑巾がけしていたら、涙があとからあとから溢れ出てきたわ。

これは何の涙?

悲し涙かしら、それともうれし涙?

悲し涙だとしたら、あの3人に多少なりとも情があったことになるわね。

さすがは私。

うれし涙だとしたら、当然ね。

ようやく解放されるのだから。

今頃は3人とも侮辱罪でタイーホかしら。

さようなら、永世鼻フック、しゃくれ子、あご美…。

 

そうやって3人に想いを巡らせていると、自称魔法使いのババアがドアを叩いたの。

怪しい。

怪しすぎるわ。

見た目も経歴も何もかもが怪しすぎる。

率直に言って、犯罪者のそれよ。

鼻なんか、どうなってるの、それ。

永世鼻フックでさえ目じゃないわ。

フラミンゴのクチバシじゃないんだから。

 

え? 魔法で綺麗なドレスとガラスの靴を用意してくれるって?

いやいや、余計なお世話よ。

今王宮に行ったら王宮侮辱罪でタイーホよ。

空気読みなさいよ。

 

まあ、綺麗なドレス着てみるだけでも悪くないわね。

だって、シンデレラは女の子だもん♡

 

あら? メチャクチャイケてるわね。

美しい。

美しすぎるわ。

控えめに言って、お姫様ね。

何をやっても、「美しすぎる」が枕詞になっちゃうわ。

う~ん、困っちゃう♡

 

ま、これならバレることはないか…。

3人の死に目にも立ち会いたいし。

仕方ない、乗り気じゃないけど行ってくるか!(うきうき)

 

魔法使いがカボチャの馬車を出してくれたけど…

トロい。

トロすぎるわ。

午前零時に魔法が解けるらしいけど、これじゃあ王宮に着く前に魔法が解けてもおかしくない。

わざとやってるんじゃないかしら、あの魔法使い。

大体カボチャの馬車もダサダサね。

センスが一昔古い。

古すぎるわ。

っていうか、センスの問題じゃない気さえしてきたわ。

カボチャである意味がわからないもの。

 

そうこうしているうちに、王宮についたわね。

一応一通り、無意味に王宮内を立ち回って、私の美貌とナイスバディをアピールして、と。

フフフ。

皆、私の美しさに釘付けね。

ヨダレ垂らしている人までいるわ。

 

そうそう、永世鼻フックにしゃくれ子にあご美は、と…

あららら…

普通に舞踏会に参加してるじゃない。

ま、確かに舞踏会始まった直後にしょっ引くのも、なんかね。

雰囲気悪くなるでしょうし。

終わった後に捕まるパターンかしら。

これが3人の最後の晩餐ならぬ舞踏会か…

そう思うと感慨深いものがあるわね。

 

さてさて、午前零時まであと少し。

適当に時間潰しててもいいんだけど…お、来た来た。

王子様がダンスパートナーに誘ってきたわ。

そう来なくちゃ♡

 

うんうん、まあまあのイケメンね。

踊りも悪くないし。

何といっても、王宮の財産総取りでしょ?

いいんじゃない?

美味しすぎるんじゃない?

王子様も私の美貌に夢中みたいだし。

これはもらったわね。

 

 

!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

しまった!!

夢中になって踊ってたら午前零時の鐘が!

今ここで魔法が解けたら、あの3人の身内だってばれてしまう。

そうなったら、王宮侮辱罪よ!

マズい。

マズすぎるわ

 

あわわわわわわわわ…

は、早く帰らないと…

ちょ、この王子様しつこい!

放して…放してよ!

放しなさいってば!

放せ、コラァ!!

やっと王子様の手を振り切った。

あと5秒。

震えるぜハート、燃え尽きるほどヒート!

守衛に回りこまれた!

うおおおおおおおお、どけゴルぁ!

 

守衛をぶっ飛ばしたはずみで靴が脱げたような気もしたけど、気にしてられないわ!

どうせ魔法が解けたら靴もなくなるだろうし。

 

……………………

ふう。

間一髪、外に逃げ出すことができたわね。

やっぱり冒険なんてするもんじゃないわ。

鼻フック大好きなうちの父親じゃあるまいし。

ところでカボチャ、持って帰らないと駄目かしら?

かなり重いんだけど。

やっぱりあの魔法使い、わざとね。

 

結局、あの3人も普通に帰って来たわね。

何の罪にも問われなかったみたい。

寛大ねー。

感動だわ。

王子様、イケメンで、金持ちで、心が広くて…

惜しいことしたわね。

ま、もう会うこともないか…。

 

 

…………………………………………

ん?

街におふれが出てるわね。

なになに?

!!!

王子様が私を探しているですって!

しかも、脱ぎ捨てていったガラスの靴に合うかどうかで、私本人かどうか確かめてるんですって!

危険ね。

危険すぎるわ。

 

だって、靴がぴったり合ったら本人だ!っておかしくない?

靴なんて大体の人間はサイズ一緒よ。

幸か不幸か、私のサイズは27.5cmだから女性で合う人はめったにいないだろうけど。

それにしてもおかしいわ。

だって、王子様が面会すればいいことよね?

王子様が、この人だ!って認めれば、一発だし…。

ひょっとして、王子様、私の顔を覚えてないってことかしら?

だとしたら悲しすぎるわね。

なんか気持ちも若干冷めてきたわ。

 

 

とはいえ、そこを除けばほぼ完璧だし…。

あんまり気は乗らないけど…物は試しで行ってみるか!(うきうき)

 

で、やっぱりしゃくれ子とあご美も来てるわね。

あつかましいにも程があるわ。

明らかに違うでしょ。

未だかつて人生で一目惚れされたことがあるのかしら。

そもそも人類に恋されたかどうかすら疑わしいわ。

守衛さんも、いや、え?

みたいな顔してるし。

 

ほら、案の定全然合ってない。

それにしても、二人共足のサイズ22.5cmか…

知ってはいたけど、私の足のサイズ大き過ぎね。

なんか、負けた気分だわ。

 

おっとっと、私の番ね。

はいピッタリー!

当たり前だけど、ちょっとドキドキしたわね。

 

そういえば、魔法が解けたのに靴は無くならなかったわね。

あの魔法使い、狙ってやったのかしら?

だとしたら有能すぎるわ。

王宮で雇ってあげようかしら。

 

さ、これで王子様とお会いして、めでたくハッピーエンドね。

………うーん。

でも王子様、本当に私の顔覚えてなかったのかしら?

確かにドレスの胸元ばっかり見てたような気もするけど…

控えめに言っても巨乳だし、仕方ないと言えば仕方がないか…

なんか、素直に喜べないわね。

 

そうそう、あの3人、永世鼻フックとしゃくれ子とあご美とは、前と変わらず普通にお付き合いしているわ。

当然でしょう?

自分の身分が変わったからといって、仕返ししたりするのは二流のやることよ。

一流は、そんなことで無意味な時間や労力は使わないの。

こうしておけば、勝手にあの3人も感謝してくれるしね。

さすがシンデレラ!っていう寸法よ。

 

シンデレラストーリーの苦労、わかっていただけたかしら?

この世の中、結局は持って生まれた美貌よ。