ウサギたちの邂逅 本当は「アホらしい」日本昔話
どんもっす。
日本昔話シリーズその⑥
リアルにウサギがいたら…多分こんな感じ👇
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ウサギ一同「かんぱーい!!!」
白ウサギ「うー、一仕事終えた後の一杯は格別やな」
月ウサギ「せやなー。五臓六腑に染み渡るわ」
カチカチウサギ「にしてもあれやな。ワイらもメジャーになったもんや」
油断ウサギ「せやなー。昔話でも引っ張りだこや」
白ウサギ「今日はなんや、酒の席やしそれぞれの武勇伝でも語ろうや」
月ウサギ「おお!ええな。お互いの活躍、言うほど知らんしな」
カチカチウサギ「ほな、言い出しっぺの白ウサギからいけや」
白ウサギ「ええで」
白ウサギ「ワイは古事記にも出てくるからな。恋のキューピッドや」
油断ウサギ「おお! ええやんええやん」
白ウサギ「エピソード自体はまあまあ普通や。海の向こうの島まで渡ろ思たんやけど、ウサギやから泳げへんやん?」
月ウサギ「ほうほう」
白ウサギ「せやから、海に住むワニサメ共を騙くらかして、あいつらの頭の上をぴょんぴょん飛んで向こう岸に渡ったんや」
カチカチウサギ「なかなかの策士やな」
白ウサギ「傑作やったで~、あいつら。そろいもそろってアホ面下げて、向こう岸までずらーっと整列しよんねん」
油断ウサギ「どう騙したんや?」
白ウサギ「ワイらウサギ連合とワニサメ共で人数比べしよう言うたんや」
月ウサギ「ほうほう」
白ウサギ「で、ワイが数数えたるから向こう岸まで並べ言うたんや。」
カチカチウサギ「それでワニサメ共は並んだんか?」
白ウサギ「せや。普通並ばんやろ? 自分らの数くらい覚えとけ、いう話や」
油断ウサギ「救いようのないアホやな」
白ウサギ「アホ丸出しやったで。で、あいつら騙されたと分かると、寄ってたかってワイの皮を剥ぎよんねん。全身ズルむけや」
月ウサギ「えげつな! なんやねん、それ」
白ウサギ「せやろ? アホの上に陰険ってなんやねん。ホンマ救いようがないわ。で、そこを八十神さんたちが通りかかったんやけどな、こいつらが輪をかけて陰険やったわ」
カチカチウサギ「というと?」
白ウサギ「苦しんでるワイを見て、『海水に浸かれば治る』やと。ありえんやろ?」
油断ウサギ「もろ嘘やん」
白ウサギ「せや。しゃーけど、あんときのワイは純粋やったからな。切羽詰まっとったしな。藁にも縋る思いで、神さんが嘘つくわけない!思て言うとおりにしたら、激痛や。ホンマ、あいつらシャレならんで」
月ウサギ「けったいな神さんもいるもんやなぁ」
白ウサギ「ま、次会うことがあったら、絶対イワしたるけどな」
カチカチウサギ「せやせや。ウサギ連合の総力挙げて潰そうや」
白ウサギ「そんときは援軍頼むわ。で、そのあとに来た大国主命ができた人でな。ホンマもんの治癒法を教えてくれたわ。お礼に、八十神と大国主命の目当ての八上姫に、あることないこと吹き込んだったわ。結果的に八上姫と大国主命が結ばれたっちゅーわけや」
油断ウサギ「おおーーー!!」
月ウサギ「やんややんや!!」
カチカチウサギ「ホンマ恋のキューピッドやな。やること憎いわ」
白ウサギ「さて、これでワイの話はおしまいや。お次は誰や」
カチカチウサギ「ほな、ワイいくわ」
カチカチウサギ「ワイは性悪タヌキをシバキあげた話やな」
油断ウサギ「おお、めちゃおもろそうやんけ」
カチカチウサギ「ホンマ傑作やで。ワイの住んどる山の麓に、ジジイとババアが住んどったんやけどな。まあまあええジジイとババアやったわ。懐いとるフリしたら餌くれたしな」
月ウサギ「ほうほう」
カチカチウサギ「で、そのジジイの畑を毎度毎度荒らすアホダヌキがおったんや。怒り狂ったジジイに取っ捕まったんやけどな。このアホダヌキがアホのくせに知恵を働かしよんねん」
白ウサギ「というと?」
カチカチウサギ「ババア騙して逃げよんねん。騙されるババアもアホやけどな。こともあろうか置き土産に棒でババアをシバキ倒しよった」
油断ウサギ「恩を仇で返すとはこのことやな。ババアどうなったん?」
カチカチウサギ「死んでもーたわ。殴られ過ぎてな」
月ウサギ「引くわー。どんだけシバキよんねん、そのタヌキ」
カチカチウサギ「せやろ? ワイも怒り心頭や。絶対イワしたる!思てな」
白ウサギ「せやせや。そんな畜生を放置しとったら、しょーもないで」
カチカチウサギ「せやから、そのアホダヌキを芝刈りに連れてって、背中に背負った芝に火ぃつけてやったわ」
油断ウサギ「そんなん絶対に途中でバレるやんけ」
カチカチウサギ「そう思うやろ? しゃーけど、あのアホダヌキまんまと騙されてくれたわ」
月ウサギ「ほうほう」
カチカチウサギ「火打ち石で火点けたんやけどな。『カチカチ』音がするやろ? タヌキが『何の音や?』って聞いてくるから、カチカチ山やからカチカチ言うんや、言うたら納得しよったわ」
白ウサギ「マジでか! ワニサメ共といい、世の中アホばっかしやん」
カチカチウサギ「せやろ? そんで火点いたら『ボウボウ』音がするやん? タヌキが『何の音や?』って聞いてくるから、ボウボウ山やからボウボウ言うんや、言うたら納得しよったわ 」
油断ウサギ「救いようのないアホやな」
カチカチウサギ「アホ丸出しやったで。ワイも自分で言っておきながら、心の中で『ボウボウ山ってなんやねん! さっきはカチカチ山や、言うてたやんけ!』って自分に突っ込んでたからな」
月ウサギ「そらツッコむわ。そのタヌキ、ほんまもんのアホやん」
カチカチウサギ「せやろ? で、そのうち火が大きくなって大火傷や。しゃーないから見舞いに行ってやったけどな」
白ウサギ「どーせ単なる見舞いやなかったんやろ?」
カチカチウサギ「ご名答や。塗り薬のフリして、とうがらし塗りたくってやったわ」
油断ウサギ「ファーwww。悪魔やん」
カチカチウサギ「タヌキは『痛い痛い』言いよるんやけどな。良く効く薬ほど痛いんや、我慢せぇ!言うたら歯を食いしばって耐えよんねん。そのうち気絶しよったわ」
月ウサギ「面白すぎるやろ、それ。動画撮ってないん?」
カチカチウサギ「傑作やったで~。動画は無しや。あの時代やしな。で、タヌキの背中が治ったから釣りに誘ったんや。あのアホ、疑いもせんとノコノコついてきよった。」
白ウサギ「普通警戒するやろ。アホすぎるわ、そのタヌキ」
カチカチウサギ「ま、ワイが役者やったのもあるけどな。タヌキはワイお手製の泥船や」
油断ウサギ「泥船にタヌキまんまと乗ったんけ?」
カチカチウサギ「普通に乗って大海原に出よったわ」
月ウサギ「いよいよもってヤバいわ、そのタヌキ。ビョーキやん」
カチカチウサギ「ワイの作戦通り、泥が溶けて沈んでいきよったわ」
白ウサギ「タヌキどうなったん?」
カチカチウサギ「もちろん、海の藻屑や。ちょっと張り合いなかったけどな」
油断ウサギ「おおーーー!!」
月ウサギ「やんややんや!!」
白ウサギ「さすがやなー。やること憎いわ」
カチカチウサギ「さて、これでワイの話はおしまいや。お次は誰や」
月ウサギ「ほな、ワイいくわ」
月ウサギ「いうて、ワイはそんなに自慢することもないなぁ。月に住んどるのが苦行すぎて、それが唯一にして最大の自慢なくらいや」
油断ウサギ「そもそもなんで月に住んどるんや? 絶対住みにくいやろ」
月ウサギ「ホンマ最悪やで。空気薄いし、食うもんモチしかないし。それもこれも全部あのアホザルとアホギツネのせいや」
白ウサギ「というと?」
月ウサギ「あのアホ共、何を血迷ったか人間になりたい!言い出しよってん」
カチカチウサギ「マジでか! ワニサメといいタヌキといい、アホしかおらんやん」
月ウサギ「せやろ? で、神さんも輪をかけてアホでな。真に受けよってん。ワイらの食べ物を人間に差し出したら叶えたる、言い出しよったわ」
油断ウサギ「ほうほう」
月ウサギ「サルもキツネもホンマにアホやからな。真面目に食べ物差し出しよったわ。ワイはあほくさ思てなんもせんかったわ」
白ウサギ「それが正解や。別に人間になりたい訳やなかったんやろ?」
月ウサギ「当ったり前やん。何が悲しゅうて人間にならなあかんねん。ストレス溜めて生きとうないっちゅーねん」
カチカチウサギ「ほんまやなぁ。ワイらは気楽やもんな」
月ウサギ「せやけど、あのアホ共はワイを非難してきよってな。『なんで食べ物あつめてこんのやー』『人間になりとうないんかー』言うて。やかましいわ」
油断ウサギ「救いようのないアホやん。ていうか真面目なんかアホなんか、よう分らんな。ほんでどないしてん?」
月ウサギ「人間になるのなんてどうでもええけどな。あのアホ共に文句言われるのは我慢ならんかったわ。しゃーないからワイ自身の丸焼きプレゼントや」
白ウサギ「思い切ったなー。ヒーローやん」
月ウサギ「せやろ? アホザルもアホギツネも目を白黒させて、あわあわ言うとったわ。誤算はそのあとや」
カチカチウサギ「何があったんや?」
月ウサギ「アホ神さんもごっつい感動してな。特別に月に連れてったるー言い出しよった。余計なお世話じゃ、ボケェ!」
油断ウサギ「八十神の件といい、神さんたちもアホしかおらんのやな」
月ウサギ「正直な、ワイも最初は楽しみやったで。神さん曰く『幸せの月の国へ連れてってあげよう』やからな。いざ行ってみたら地獄や。どこが幸せの国やねん」
白ウサギ「新手の宗教やんけ」
月ウサギ「ホンマやで。あの神さんだけは絶対いつかイワしたるわ」
カチカチウサギ「せやせや。ウサギ連合の総力挙げて潰そうや」
月ウサギ「そんときは援軍頼むわ」
油断ウサギ「かぐや姫とは交友あるんか?」
月ウサギ「ないわ。めっちゃ高圧的やしな。ホンマ、ワイらウサギを舐めてるで」
白ウサギ「最近地球に来たみたいやな」
月ウサギ「あのねーちゃん、地球大好きやからな。せやせや、あのねーちゃんもえげつないで。自分のワガママで死傷者でとるのに、腹抱えて笑っとったわ」
カチカチウサギ「悪魔やんけ」
月ウサギ「せやで。今度テレビに出るはずやから。チャンネル適当に回したって」
油断ウサギ「了解や。 ほな、基本自分一人なん?」
月ウサギ「せやで。さすがに寂しいわー。今日は飲み会に呼んでくれてありがとな」
白ウサギ「寂しいと言えば、アレや。ワイらウサギの俗説や」
月ウサギ「あー。アレやろ? ウサギは寂しいと死ぬとかいうやつやろ? 何やねん、アレ。アホかっちゅうねん」
カチカチウサギ「ホンマ、ウサギを小馬鹿にしとるわ。そんなわけないやんけ。そんな舐められるようなこと、ワイらしてへんぞ」
油断ウサギ「………………………」
白ウサギ「ん? 自分どないしてん? なんか暗ない?」
油断ウサギ「すまんな。舐められるようなこと、してもうたわ」
月ウサギ「ほうほう」
油断ウサギ「最期はワイの番やな。ホンマ、申し開きもできんわ」
カチカチウサギ「というと?」
油断ウサギ「ワイな、カメに負けてん。よりにもよって、かけっこでな」
白ウサギ「嘘やん…。カメにかけっこで負けるて…。太陽が西から登るくらいありえへんで」
油断ウサギ「ワイもそう思っとった時期があったわ。世のなか、舐めたらあかんわ」
月ウサギ「いうてカメに負けるてよっぽどやで? 自分、クソザコナメクジやんけ」
油断ウサギ「あんませめんといてーな。ホンマ、責任感じとるんや」
カチカチウサギ「とりあえず、詳細聞かせえや。話はそれからや」
油断ウサギ「生意気なカメがおってな。ここは一発イワしたろ!思って山のてっぺんまで競走したんや。で、あんまりカメが遅いもんで途中で寝たんや。それがアカンかった。寝すぎてもうてな。起きたらなんもかも手遅れや。急いでカメを追いかけてんけど、元の木阿弥や」
白ウサギ「で、負けちゃったと。せやけど、カメに負けるてどんだけ寝ててん。アイツラのトロさは折り紙つきやで」
油断ウサギ「どれくらいやろ。普通に丸一日寝てたんちゃうか。朝方勝負して、ぐっすり寝たのに、まだ朝やったからな」
月ウサギ「丸一日て…。よーそんな寝れるな、自分! 羨ましいわ。下手したらなんかのビョーキちゃうん?」
油断ウサギ「俺もそれは悩んでてん。一応病院行ったけどな。どこも悪いところなかったわ」
カチカチウサギ「そうなんか…。まあ、それやったら負けたうちに入らんわ。むしろ、カメ起こせっちゅーねん。そんなんで勝って嬉しいんやろか? アイツラ」
油断ウサギ「そう言ってくれると、嬉しいわ」
白ウサギ「せやせや、気にしたら負けやで。ウサギの噂も75日言うやんけ。今度リベンジしいや。次は余裕やろ」
油断ウサギ「せやな! 明日にでもリベンジするわ。なんや、気が軽くなってきたわ。やっぱり持つべきものは友達やな!」
カチカチウサギ「よっしゃ! ほな飲みなおそうや。コーラが無くなってきたから、お次はジンジャーエールや」
月ウサギ「やんややんや!」
白ウサギ「今日はとことん飲むでぇ! ファンタオレンジに、ファンタグレープ、三ツ矢サイダー、CCレモン、何でもありや!」
油断ウサギ「ワイらの友情に乾杯!!」
こうしてウサギたちの夜は更けていくのであった…。