どんもっす。
イギリスがEUから離脱して良い機会なので(←何が?)、円高になる、円安になるとはどういうことなのか解説したいと思います。
そもそも円高、円安とは何か?
皆さんが日本国内で日常的に使用している貨幣は円であり、その価値を意識することはほとんどないでしょう。
100円では100円までの品物が購入でき、1000円では1000円までの品物が購入できます。
それ以上でもそれ以下でもありません。
では、円の価値、円安円高とはどういうことでしょうか?
ここで一旦海外に目を向けてみましょう。
海外には、ドル(米ドル、カナダドル、オールトラリアドルなど)、ユーロ、ポンド、元、ウォン、リラ、ルーブル等々、その国々によって、色んな通貨が存在します。
日本にとっての円ですね。
ここで疑問です。
日本人が海外旅行に行った時、買い物はどうするんでしょう?
一部例外を除いて、円を海外で使用することはできません。
その国の通貨と交換する必要があります。
この時に、円の価値が重要になってきます。
諸外国の通貨といくらで円を交換できるか、ということですね。
通貨そのものが商品であり、他国の通貨と円のやり取りをするわけです。
この円の価値は諸外国の政治、経済状況により常に変動しており、円の価値が相対的に高くなると円高、円の価値が相対的に低くなると円安と呼んでいるわけです。
円安と円高について、もう少し詳しく考えてみましょう。
ここでは、ドルと円を例にとります。
今、1ドルと100円が等価値であるとします。
この場合、1ドルと100円は互いに交換可能です。
この1ドル=100円を基準として考えてみましょう。
1ドルが200円になった場合は?
この場合は、円安でしょうか? 円高でしょうか?
一見すると、 円が200円になっているので円高と答えたくなりますが、間違いです。
この場合は、円安が進んだことになります。
ドルの立場で見ると1ドル出しただけで、200円ももらえます。
一方、円の立場で見ると200円払わないと1ドルと交換できません。
1ドル=100円の時よりも100円余分に払わないと、1ドルと交換できないんです。
これは、円の価値が下がったから、つまり円安になったから、です。
それぞれの立場になって考えると、円の価値がどうなったのかわかりやすいです。
今度は1ドル=50円になった場合を考えてみましょう。
今度は1ドル=100円の時と比べて円安でしょうか? 円高でしょうか?
そう、円高ですね。
ドルの立場で見てみると、1ドル出しても50円としか交換できません。
一方、円の立場で見てみると、50円出しただけで1ドルと交換できます。
円の価値が高くなったから、ですね。
これが、円高円安の仕組みです。
円の価値を考える場合は、円の立場に立ってあげると非常に分かりやすいです。
円の価値と輸出入の関係は?
もう一歩踏み込んで、円の価値と輸出入について考えてみましょう。
円の価値の変動と輸出入はどのようにかかわっているのでしょうか。
基本的には上記円安円高と考えは同じで、円をそのまま商品に置き換えるとわかりやすいです。
今回も1ドル=100円を基準として考えてみましょう。
この場合、日本の100円の商品を買うには何ドル出せばよいでしょうか?
そう、1ドルですね。
では、1ドル=200円と円安になった場合、日本は輸出有利でしょうか? 輸入有利でしょうか?
正解は、輸出有利です。
なぜなら、ドルの立場からすると、同じ1ドルで200円分の商品、即ち倍の数の商品が購入できるからです。
もしくは、同じ100円の商品を買うのに、支払いは0.5ドルで良くなります。
したがって、日本製の商品を買おうとする動きが強まるのです。
反対に、日本は輸入不利になります。
なぜなら、今まで100円で1ドルの商品を購入できていたものが、200円払わないと同じ商品を購入できないからです。
今度は1ドル=50円になった場合を考えてみましょう。
今度は、日本の立場で考えると円高になっており輸出不利となります。
日本の100円の商品を購入するのに、ドルは2ドル払わないと行けなくなっているからです。
反対に、日本は輸入有利となります。
なぜなら、1ドルの商品を購入するのに50円払うだけで済むからです。
これが、円高円安と輸出入の関係です。
海外旅行も同様の考えで、
円高 ⇒ 海外旅行が安く済む 反対に海外から日本へは割高
円安 ⇒ 海外旅行が高い 反対に海外から日本へは割安
日経平均株価と円高円安の関係は?
円高が起きると、日経平均株価が下がるのはどういうことでしょうか?
これは、全ての銘柄が下がっているわけではなくて、輸出企業の株価が下がっているのです。
円高になると輸出不利、ですね。
こうなると、輸出企業の業績が悪化することが考えられるため、輸出企業の株を売って手放そうとする人が増えます。
その結果、輸出企業の株価が下がるわけです。
逆に円安になると輸入不利になるので、輸入企業の株価が下がります。
まとめを表にしてみました👇 考えるときの参考にしてみてください。
※1ドル=100円を基準としているのは分かりやすくするためであり、全世界共通の基準と言うわけではありません。
なぜ日本は極度に円高を恐れているのか?
日本は輸出企業と輸入企業が同程度であると以前の記事で言及しました👇
円高と円安は日本にとってどっちが得なの? - シャア専用ねこのブログ
日本は資源に乏しく、エネルギーのほとんどを輸入に頼っています。
エネルギーのみならず様々な物資を輸入に頼らないといけません。
一方で、輸入品に付加価値を付けて輸出する技術に日本は長けており、日本は輸出企業が経済をけん引していると言っても過言ではありません。
輸出も輸入もどちらも日本にとっては重要であり、どちらかの産業が成り立たなくなれば、日本はたちまち窮地に陥ります。
しかし、ニュースではやたらと円高になることばかりを懸念しており、円安になることへの危機はあまり語られません。
なぜでしょうか?
答えは、元々日本の通貨は非常に安定しており、常に円高基調にあるからです。
円の価値は、日本の経済状況だけで決まるのではなく、諸外国との相対的な比較により決まってきます。
例えば、アメリカの経済状況が一気に悪化したとしましょう。
そうするとドルは信用を失います。
価値が相対的に低くなるからです。
こうなると、信用が低くなったドルを持っているのは危険です。
価値が目減りしていくからです。
その代わり、価値が安定している通貨を皆求めるようになります。
今回のEUからイギリスが離脱した場合も円高が進みました。
これは、EUの経済状況が悪化し、統一通貨であるユーロの価値が下がると考えられるので、相対的に安定している円を求める人が増え、円の価値が上がったということです。
円を求める人が増えた結果円の価値が上がる理由は、需要と供給の関係です。
その商品を求める人が増えれば増えるほど、その商品の価値は上がります。
リーマンショック後に記録的な円高になったのも、諸外国の経済が壊滅的な打撃を受けたにもかかわらず、日本経済は比較的安全だったことが理由に挙げられます。
くしくも、日本はグローバル化の波に乗り遅れていたので、リーマンショックによる打撃は少なかったのですが、皮肉にもその後の円高で輸出企業は大幅減益となったわけです。
日本は島国であり、他国の政情に左右されづらいです。
移民なども海を越えてくる必要があり、制限はさほど難しくありません。
宗教的な制約もほとんどなく、諸外国と比較して内政は非常に安定しております。
例えば、国が真っ二つに割れて内紛、なんてまずありえません。
さらに、日本は個人の金融資産が1400兆円もあり、非常に安定しています。
この1400兆円という数字は驚異的であり、国が買えるレベルです。
したがって、円の価値は現在までのところ、比較的に高位置で推移しているため、さらなる円高になることを日本は恐れているということです。
極度の円安になったら、どうなる?
仮に1ドル=200円とか300円になったら、日本は騒がないのか?
騒ぎます。
もう大パニックです。
これまでよりも多く円を払わないと海外の商品を購入できません。
原油だけ見ても、自家用車、バス、タクシー、船、飛行機、電車とありとあらゆる交通手段の費用が爆発的に増加してしまい、日本経済が立ち行かなくなってしまいます。
ガソリン価格が今の倍になったら、車に乗らなくなりますよね?
それに近いことが、全輸入産業で起きる訳です。
これはパニックです。
が、今のところ、日本の円の価値が暴落しそうな雰囲気はなく、むしろ油断していたらすぐに円高になってしまうので皆円高を恐れている、というわけです。
まあ、大体1ドル=105~115の範囲に入っているのが、全産業にとって丁度良いのではないでしょうか。
ということで、円高と円安の仕組みについて、でした。
なお、タイトルの「鳥取で一番」という部分ですが、世界で一番分かりやすく解説!!にしようかと思ったのですが、世界で一番は言い過ぎだろうと思い、自粛しました。
なぜ、鳥取かって?
私が鳥取県民だからです。
んでは、今日はこの辺で。